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ラダックのお母さんの手編みソックス、販売します
Jan.8.2022
written by 寺井 晃子(TEXTILE JOURNEY)

こんにちは。


旅とテキスタイルの寺井です。

身体はいつもどこか具合が悪いし、極度の方向音痴のポンコツなのですが、旅をして、新しい世界に触れることが大好きです。


今回旅とテキスタイルの販売サイトの方で、インドの最北部に位置するラダックのお母さんたちに編んでもらった靴下を販売させていただくことになりまして、そのいきさつを少しお話しできたらと思い、このブログを書かせてもらいました。

旅をしていると、行く先々で出会う人々の善意によって助けられることが多く、自分ひとりで旅をしているのではないことを痛感させられます。


その中でも、本当に素敵なご縁に恵まれたのがラダックでした。

7年前、バックパッカーで旅していた時に訪れたラダックで、ひょんなご縁で知り合ったご家族のところに、気がついたら1ヶ月、どっぷり甘えてお世話になってしまいました。


同じことを、私は日本でできるのか? と自問すると、いや、できないよ! と思うのです。


どこの誰とも知れない人を、無償で1ヶ月も受け入れるなんて、物凄いホスピタリティーですよね。彼らと出会い生活を共にしたことで、改めて人との繋がりや温かみを感じ、そこで得られた幸福感が、私をラダックに惹きつけるきっかけのひとつになったことは間違いありません。

お世話になったファミリーとその親戚。姉妹みたいに顔が似てるよと言われていた女の子と一緒に。(中央右 )

ラダックはインドの最北部、ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に囲まれた、標高3000~7000mの山岳地帯にあり、冬にはマイナス30℃にもなるという厳しい環境にあります。そして、1974年に外国人が出入りできるようになるまでは、チベットの影響を強く残し、豊かな自給自足の生活を営んできました。

ヌブラ谷をトレッキングしている時に立ち寄った村。 
ゴンパ(寺院)の僧侶たち。 


映画『氷河の羊飼い』との出会い

そこからまたラダックを再訪するまでに4年ほど空くのですが、その間に出会ったのが『氷河の羊飼い(The Shepherdess of the Glacier)』というドキュメンタリー映画でした。

この映画は、ラダック人であるスタンジン監督が羊飼いである実の姉ツェリンの生活を、数年に渡って撮ったドキュメンタリーです。


『幸せを創れるのは自分の心だけ』


大自然の中に数百頭の山羊と共に逞しく生きる彼女から、命や自然のつながり、人間のあり方を考えさせられる、素晴らしい作品です。監督が来日された時に幸いにもお会いすることができ、次にラダックを訪れる時は彼女に会いに行こうと決心しました。

その翌年、私は彼女の住むギャー村を訪れました。ギャー村はラダックの中心部のレーという街からさほど離れていないのですが、羊飼いがいて、畑があり、自給自足の生活も残っている美しい村です。

羊飼いのツェリンさんがちょうど村に戻ってきているタイミングでお会いでき、1日だけ一緒に山に付いて行かせてもらいました。

彼女の歩くペースの速いこと。あっという間に差がついてしまいます。

森林限界を超えたむき出しの大地だからこそ、草を求めて移動する…、緑が豊富な場所なら、こんな過酷なことはしなくていいのよね、とポツリツェリンさんが話していたのを思い出します。

数百頭の山羊とツェリンさん。具合が悪くてもよっぽどのことがなければ山へ行くという。
ツェリンさん。放牧中にも毛を選り分けたり、アムチ(伝統医)が必要な薬草を摘んだりします。


しなやかに変化していくラダック

近代化の波はラダックにも押し寄せてきており、安価な農作物が隣国から入ってきていることが市場経済に依存する生活をラダックの人々にもたらしています。その波はかつての日本もそうだったように、止めることはできないでしょうし、止める権利もありません。


ただ、ラダックではさまざまな素晴らしい活動も同時に行われていて、やみくもにその波に飲まれているわけではなく、選択できる道の中でより良き道を選ぼうとしています。

世界の著名な人々が集い農業に関することが話し合われるフォーラムも開催され、ラダックのオーガニック化への活動も具体的に動いていますし、女性のエンパワーメントのためのNGOも数多く存在しています。

何度かラダックに足を運ぶたびに、彼らの生活の変化や葛藤を目の当たりにするうちに、何か自分も関われないかという思いが出てきたのは自然なことだったのかもしれません。


その中で出会ったのがラダックのお母さんたちが作る靴下でした。

厳しく長いラダックの冬の間、農作業ができずに家の中で生活する間に、お母さんたちは羊毛でさまざまなものを織ったり編んだりします。


その中でも、靴下を履かせてもらったらその暖かさにビックリ。

極寒の地の人たちの履く靴下ですから当然ですよね。

基本原毛のままの色を使っているので、色はいたってシンプルで、それがまたいい。


今回は羊飼いのツェリンさんやスタンジン監督が住む、ギャー村のお母さんたちに編んでもらいました。

ギャー村のお母さんたち

細々とではありますが、彼女たちのハンドメイドのものを少しずつ日本の皆さんに届けられたらと思っております。今回は初回なので、少し値段をおさえておりますので、ご興味あればぜひ、試してみてくださいね。

私に多くのことを気付かせてくれたラダック。今後とも末長く関わっていきたいと願っております。コロナが落ち着いたら、ラダックツアーも企画したいと考えておりますので、手仕事も含め、ラダックの素晴らしさをぜひ一緒に共有していただけたら嬉しいです。

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