COLUMN

連載:西洋更紗トワル・ド・ジュイの世界

Vol.2 Kihoプロジェクト ー日本の伝統生地×フランスの伝統テキスタイル

Sep.18.2021
written by 伊藤 志帆子

前回、フランスの伝統更紗、トワル・ド・ ジュイについて書いてくださったフレンチスタイルジュイ。新たな取り組み、kihoプロジェクトについての紹介です。フランスと日本の伝統生地を組み合わせた新しいアイテムは、どんな展開を見せるのでしょうか?

伝統生地を継承するということ

いま私たち、フレンチスタイルジュイで取り扱う生地のほとんどは、現代版のトワル・ド・ジュイです。稀に、お客様から「アンティークの布は置いていませんか?」と聞かれることがありますが、アンティークの布はコレクションとしては魅力のあるものの、日用品として使うにはサイズもデザインも現代のインテリアにはマッチしないものが多いのです。

江戸時代の家を訪ねてみると屋根がとても低いように、人間の身体的特徴や生活スタイルは時代によって移り変わるものです。小さい空間から大きい空間へと変化するにしたがって、また、木工道具から機械、IT機器に変化していく身の回りの素材に合わせて、インテリアで使われる生地のデザインや色合いも更新していく必要があります。トワル・ド・ジュイにおいても、現在メーカーで作られているものの多くは、原版を現代風にリデザインした現代版トワル・ド・ジュイであり、日常に使いやすくすることで伝統のデザインを引き継いでいくことができています。

kihoプロジェクトについて

kihoプロジェクトによる、トワル・ド・ジュイと新潟の亀田縞のコラボジャケット photo by manako

そういった新しいデザインは掛け合わせで生まれることも多く、19世紀末のフランス絵画界に浮世絵ブームがおきたジャポニズムのように、それぞれの国の文化が影響しあい、発展していくものがあります。また、フレンチスタイルジュイでは日本人がフランスで運営する生地屋として、日本とフランスの架け橋になることができないかという想いを抱いておりました。そんなある日、2020年の5月に東京の店舗を訪ねていらしたのが、新潟県の伝統織「亀田縞」を使ってエプロンやシャツを製作されているTOKONUHA sewing(トコヌハソーイング)デザイナーの松島敏子さんです。亀田縞とは、新潟県の亀田地区で300年以上前からつくられていた織物で、戦時指定で一旦途絶えてしまったものの、2社のみ残った機屋が丸3年をかけて見事に復活したという歴史を持っています。


新潟市亀田駅に飾られている亀田縞のモニュメント photo by French Style Jouy

松島さんはもともと自分が欲しいストライプの幅の生地が周囲に見当たらなかったことから方々を探し、最終的に亀田縞にたどり着いた上、結局既製品ではイメージにぴったりのものがなく、工場でオリジナルの生地を作ってもらっているとのことでした。伝統織にちょっとモードをプラスすることで、現代でもオシャレに使えるものを作るという考えで制作されているとのことで、お話をするうちに、私たちの理念と近く、この方とコラボをするととてもおもしろくなるのでは、と思ったのがきっかけで、kiho「企布」プロジェクトを立ち上げました。

「布で企てる」。伝統生地の可能性を求めて

フレンチジュイで扱っている現代版トワル・ド・ジュイ photo by manako

 kiho「企布」は、“布で企てる” という意味を込めた造語で、名づけ親はファッション誌で編集経験ももつフリーランスの編集・ライター/コピーライターの依知川亜希子さんです。 

ふたつの国の伝統的な生地をかけあわせて、伝統生地や手工業の可能性を模索しよう。組み合わせの妙を広く伝えることで、伝統を絶やさず、わたしたちらしく引き継いでいこう、という想いが込められています。

「TOKONUHA sewing」×「フレンチスタイルジュイ」×「依知川亜希子」=kihoとして活動を開始し、第一弾として、トワルドジュイと亀田縞を掛け合わせたバッグとジャケットを開発しました。

絵画のように美しいトワルドジュイのプリント、木綿の糸が織りなす亀田縞のしなやかな風合いと肌触り。それぞれの魅力を活かし、TOKONUHA sewingがパターンとシルエットにこだわりデザイン。縫製から仕上げまでのすべてを国内の職人による手作業でおこなっています。

デビュープロジェクトということで、2020年12月1日~1月16日までクラウドファンディングサイト「Makuake」にて応援受注販売を行いましたところ、目標金額の2倍以上が集まり、Makuakeサイト以外からも多くのご注文をいただきました。今後は、フランスでのクラウドファンディングに挑戦し、また、第2弾の商品開発も計画しております。

今後も、日々のくらしに華を添え、装うことがたのしくなる。kihoのアイテムが現代でそんな存在になることを願ってこれからも伝統生地の掛け合わせを提案していきます。

 

Profile : 伊藤志帆子(フレンチスタイルジュイ) / Shihoko Ito

2008年フランス南西部コニャックにて、 シャルロ竹内彩子がフレンチスタイルジュイを創業。2011年にフランス人スタッフ、2014年に日本人スタッフ(伊藤志帆子)が参画し3人体制での運営となる。2018年8月、伊藤が東京実店舗「フレンチスタイルジュイ」を台東区上野桜木にオープン。ワークショップなども行う。2020年、日本の伝統生地とフランスの伝統生地を掛け合わせるプロジェクト「kiho(企布)」を立ち上げ、「亀田縞×トワルドジュイ」のコラボ商品を販売するクラウドファンウンディングでは目標金額の2倍を達成。10月9日(土)に本所吾妻橋のカフェ「PENITENT」にて第二弾コレクションのポップアップイベントを開催予定。


フレンチスタイルジュイ
kiho(企布)
https://tokonuhameetsjouy.com

 

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